仮想通貨な世界 第二話

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2.マイナンバーカードとトークン

まあ、今日からマイナンバーカード俺のやつが出来たし、
これで完全に何でもできるな。

あとで、学食で使ってみよっと。
今日は、景気がいいしかつ丼だな。

授業そっちのけで、今日の昼食の事で頭がいっぱいになっていた。
当時の俺は、トークンの意味をまるで分かっていなかった。

そんなことを尻目に、担任は黒板にでかでかと
「マイナンバーカードとトークン選択」
と荒々しく書いたのち、プリントを配り始めた。

一応、トークンがお金だという事は知ってるから大丈夫だろ。
今までも親のトークンで服買ってたし。

ただそうは言っても、トークンに関することはやっぱり気になる。
いつもはくちゃくちゃにして机の中に紙を放り込む俺だが、
そのプリントばかりは友達の赤ちゃんを介抱するようにそっと持ち上げて、読みにかかった。

…なるほど、全く意味が分かんねえ。

とりあえず、
「18歳の誕生日を迎えた時点で成人となり、選挙権・マイナンバーカード・
各自のトークンが有効化になります。」
という一文目ですらなかなか意味を飲み込めない。

「各自のトークン?」
マイナンバーカードには、本名である尾上良太の文字がローマ字で記されており、
その横にTOKEN1とつづられていた。

自分の名前のトークンでこれから買い物するってことか。
ふんわりだが、俺はプリントからそう解釈した。

「みんな、プリントはちゃんともらったか??それじゃ、今からマイナンバーカードと
トークン付与に関して説明する。この授業は本当にきちんときいておけ。そうしておかないと、これから全く買い物出来なくなるぞ」
担任のこの冒頭から説明が始まったこともあり、珍しく俺ですら寝ることはなかった。

買い物できねーとか絶対嫌だし。

マイナンバーカードの説明は、思っていたよりもあっさり終わった。

何でも、先生が俺たちぐらいの頃からあったらしく(機能は皆無だったそうだが)
このカードで買い物や移動、病院に旅行など
何でもできるらしい。

ただ、紛失すると果てしなく面倒くさい手続きが必要になるらしく、
不安なやつは鎖にでもつないでおけとのこと。

この一言で教室がまた、柔らかい雰囲気になる。

…はやく自分のトークン使いてーな。

窓の近くにある桜の木が強風にあおられて、ピンクの花びらがひらりひらりと舞い散っていく。
その欠片が俺の机の上に、何かを訪ねて舞い込んできた。

そういえば、桜トークンってどこかで聞いたことあるな…

かすかに、記憶の引き出しが開きそうな気がした。
その引き出しに手をかけたその時、
「さあ、大事なのはここからだ。マイナンバーカードに各自の名前がローマ字で刻まれているのは分かるな?」
担任の口調がまた真面目になったので、頭の中の引き出しは閉じてしまった。

閉じてしまったのには少し訳があった。
俺には、このことでとても気になっていたことがあったためだ。
「せんせー、名前の後ろに数字が1、2、3とそれぞれついているんだけどこれ何?」

すると先生は何かの獲物を見つけたかのように
「涼太、いい質問だ」
と不敵な笑みで笑った。

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