仮想通貨な世界 プロローグ

「仮想通貨な世界」

プロローグ
 
2030年、日本は東京オリンピックを終えて以降、
ゆるやかに、それはそれはゆるやかに
下降線をたどっていた。

景気が悪くなった理由を
各分野の自称プロフェッショナル達が、
やれ
「観光事業が低調だからだ」
と言えば、

「いや、金融政策が悪いからだ」
他の専門家がしたり顔で反論する。

メディアでこのような討論番組をよく見かけるが、
ほんとは皆、原因が心の中でしっかりと分かっていた。

「今までの政策が、もう噛み合わなくなってきている」

人口ボリュームのあった世代が定年を迎え、
労働人口がますます減っていく現状。

終身雇用制度が今の日本とかみ合わなくなっている問題。
さまざまな問題が、日本政府と国民に襲い掛かっていた。

またその流れと逆行するように、
仮想通貨などの電子決済のサービスが、目覚ましく台頭していった。

その影響力は凄まじく、すでに政府が目をつむることが出来ない程、
日常生活に入り込んできていた。

例えば、さまざまなサービスが仮想通貨で決済できるようになっていた。

その代表的なモノはバイト代や給料。
仮想通貨で支払うのが主流になっていた。

その変化は国民にこう結論付けさせた。
「日本円がなくても生活出来るな、これなら。」

このことは、企業に依存して労働を行う従来スタイルの意欲を
根こそぎ奪い取っていった。

このままではいけない、とうとう日本政府は重い腰をあげた。
そして2032年、「評価経済決済法」が制定されることになる。

この政策は、
今までの終身雇用制度や日本円の概念を覆す
異質な政策であった。

当然のごとく、賛否両論を呼んだ。

「第一条. 日本円を使用せずとも電子通貨決済で豊かな暮らしができるよう、各々個人にトークンを支給する」
「第二条. 日本円ではなく、各個人名のトークンで、すべての物品やサービスを享受できるものとする」
「第三条. 支給した各個人名のトークンの価値は、政府規定の基登録した、3つの分野選択によるものとする。また、評価に関する基準は世間に与える影響力などさまざまな評価項目から決定される」

あまりにもこれまでのルールとは、
ベクトルの違う政策に波紋はすぐさま広がった。

「日本円はどうなるのか?」
「評価の基準を明確にしろ!!」
国会議事堂の前では
大衆の怒号が、連日響いていた。

大人たちが必死に怒号を上げる一方で、
若者たちはこの政策を案外すんなりと受け入れていた。

時が進み2040年、

「日本円なんかふりーでしょ」
尾上涼太も、その若者たちの一員となっていた。

この物語は、完全に仮想通貨決済になり、日本円が不要になった世界。

評価経済、loT化が導く未来のカタチに適応しながら、
青春の道を力強く歩んでいく
尾上涼太(18歳)のお話です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA